桂高等学校(京都府)
古田 萌黄さん/池原 紫乃さん/川戸 端月さん
古くは奈良時代から食されている京野菜「桂うり」。食の欧米化や栽培制限などで、現在栽培している農家は1件。そこでこの野菜の香気を活用し、食事制限を余技なくされている方の糖尿病予防食として開発し、希少価値としての野菜ではなく必要とされる野菜を目指します。
時代が変われば物の必要性も変化します。様々なものごとが淘汰され、時代を超えて「伝統」として取り扱われるにはそれなりの理由が存在するはずです。このアイデアは、そんな伝統という「希少価値」から、再び「日常の価値を引き出そう」というものでした。
自分たちの感覚で世の中のものごと(桂うり)を見つめて、違和感を持った部分を綿密に調べて要素を解体し再構築するフットワークの軽さと人に伝える力は見事です。また実際に植物を育てたり、既存の仕組みを信用しすぎず、自分たちの実体験や調査から、どの部分が現代社会のニーズにはまるのかを見据えて解決方法に導く実現力もあります。「伝統とは何か」「日常の価値とは何か」というそれぞれの視点にも迫っています。
それだけに最後の締めの言葉は、「地域に愛される」「明るい未来」でまとめてしまうと主旨がずれてしまい、勿体無い気がします。数多く国内に存在する伝承野菜の「必要」を引き出し、桂うり以外にも転用できるアイデアであることを明確に主張することで、さらに共感度が高まると感じました。
二次審査時の提案パネル PDFダウンロード