歴史遺産学科Department of Historic Heritage

女性アニメファンの嗜好研究 -推しをめぐるコミュニティ形成-
山口育恵
山形県出身 
松田俊介ゼミ

目 次 先行研究/調査/分析

 女性アニメファンに注目した研究を行った。研究は?主にジェンダー的観点とコミュニティ形態という?2つの視点から研究を進めていった。比較対象として男性アニメファンの調査も行った。ジェンダー的観点では?アニメがジェンダー形成と関わりがあることに注目し「男の子向けアニメ」と「女の子向けアニメ」の相違に焦点をあてた先行研究を?参考にしながら研究を進めていった。先行研究では?社会が求めている人物像が?アニメで描かれる男性像?女性像に関係しているとされていた。コミュニティの研究は?岡部大介(2022)『ファンカルチャーのデザイン』を参考にコスプレコミュニティ?腐女子コミュニティ?2.5次元コミュニティという3つのコミュニティに着目して研究を行った。3つのコミュニティの共通点としては?それぞれのコミュニティで共有方法が異なっていたが?どのコミュニティでも「仲間と共有する」という行為が行われていた点であった。コミュニティの目的は共有という行動にある様であった。  

アニメファンを対象に予備的なアンケート調査実施した?予備的なアンケート調査を参考に女性2人?男性1人のアニメファンにロングインタビューを実施したところ?全員が親のアニメ嗜好の影響を受けていた。その後?「山形アニメイト」への店内調査と?アニメファンがアニメグッズをどの様に活用しているかの調査を行った。調査する中で?推しのグッズを収集しているアニメファンがいた。推しのグッズは、「推し祭壇」(図1)や「痛バック」を作る事で、自分の推しをアピールする目的などが存在していた。更には、自ら推しのグッズをハンドメイド(図2)しているアニメファンもいた。次に?作り手の視点から調査を行おうと?女性2人、男性1人の同人作家にインタビューを行った。インタビューを行った結果?同人作家は?他者と話題を共有し合う事を楽しみとしていた事が解った。しかし?調査した範囲では制作する物語の内容が男女で思考が異なる可能性があった。

調査を通して?アニメファンは共有する事を楽しみとしている事が解った。そして?互いに考えを共有し合う事で?作品の解釈を深めている可能性があった。その中でも特に、多くの人が行っているのが?推しを共有し合う行為であった。アニメファンはコミュニティメンバーと考えを共有し合うことで?コミュニティの関係を深めあっている可能性があった。

図1推し祭壇の一例

図2ハンドメイドグッズの一例