アイドルファンのファンコミュニティの文化的様相-日韓の動向比較を中心として-
遠藤鈴香
山形県出身
松田俊介ゼミ
本研究では、日韓アイドルの比較を行うとともに、ファンコミュニティ構築からファン同士の関係性やファンの心情の部分を深掘りし、考察することを目的として、アンケート調査、インタビュー調査を中心として研究を行った。
調査から、多くのファンがSNS上でグループ専用アカウントを所有していることが明らかとなった。ハッシュタグツイートの内容に差異はあるが、Twitterを利用してファン友達を探すというのは日韓関係なく、どちらのファンにも見られる行動であった。限られた情報の中で投稿者の雰囲気を読み取り、主観的に相手の人物像を推測することで築き上げたコミュニティと言える。交流していくうちに「合わない」と違和感を覚えれば、築いた関係性を解消するということも起きていることから、Twitter上のファン同士の繋がりは、曖昧で緩い関係性にあることが考えられる。
アイドル業界が盛り上がりをみせるその一方で、SNS上での誹謗中傷の問題が深刻になっており、調査を通して特にK-POPアイドルとファンとの関係性(図1)に、にこの問題が顕著に表れていると感じた。誹謗中傷や脱退請求等の行動を起こしている人の多くは元ファンであり、異性問題や不祥事をきっかけに、好きから嫌いに転じたパターンが主である。中にはSNSの拡散力を使い、組織的に動き、メンバーの脱退要求を行う人も存在している。現在のようにK-POPが世界的人気となった背景には、献身的に支えるファンの存在がとても大きいことも確かだが、それと同時にファンはアイドル生命を終わらせる力を持ち始めているのである。インターネット技術が発達した今、我々ファンは、スマホ一つで推しに愛を伝えること、また攻撃をすることも容易にできる環境に身を置いていることを再認識する必要があると考える。
近年の日本のアイドル業界は、K-POPによって新たな刺激を受けているが、今後最も重要視されてくるのはメディア戦略であると考える。デジタルメディアが主流になっていく中で、時代に合ったメディア戦略をどのように立てていくのかが、成功の鍵になってくるのではないか。