菅原昌也|瑞鳳殿の石灯篭の地震による被害と補強ー2011年の東北地方太平洋沖地震と2021年?2022年の福島県沖地震を中心にー
宮城県出身
北野博司ゼミ
瑞鳳殿は仙台藩祖伊達政宗の霊廟で仙台駅より西南、広瀬川の蛇行部を挟み仙台城と向かい合うように位置している。そんな瑞鳳殿の石灯篭は2011年から現在までに発生した大地震によって倒壊などの被害に見舞われてきた。その度に復旧してきたが2021年発生の福島県沖地震後には通路側を中心に石材用接着剤?ゴムパッキン?ステンレス製心棒による補強が実施された。しかし、補強と復旧が完了したその日に地震が発生し被害を受けた。
そこで本研究では伊達政宗の霊廟である瑞鳳殿の161基の石灯篭を対象に2011年の東北地方太平洋沖地震、2021?2022年の福島県沖地震の被害の実態と補強の有効性検証を行った。
研究方法を挙げていくと、被害状況は倒壊やズレ、倒壊方角から、2011年と2021年の地震は記録写真から、2022年はIOSのSCANIVERSEとWIDARというアプリを用いて3Dモデルとオルソ画像を作成して分析していく。倒壊方角は2011年と2021年は写真から推定し、2022年は3Dモデルから測っていく。補強方法は実施したものが2022年の地震で被害があったのか見ていく。
結果として、被害は全体では被害なしが増加し、倒壊が減少する相関関係が見られ。2011年地震から2021年地震の変化は地震の規模によるもの、2021年地震から2022年地震は補強により減少したものと推測できる。
倒壊方角はエリア別で見ると斜面である場所抜きで見ると切土で造成された場所では全ての地震で方角に偏りが見られ、反対に盛土で造成された場所は対応する方角が見られ地震の揺れの影響が出やすいものと推測できる。
2021年地震後の補強は20%以下に被害を抑えられており、特定の場所抜きで見れば被害を抑制できていた。反面、ステンレス製心棒は部材自体に穴を開けるため傷を付けてしまうため今後破損するかもしれないという可能性は否定できない。そのため、経過観察をしてから全体への実施を検討する必要があるだろう。