第36回 夕ヶ谷姉妹はNo Can Do~ホール&オーツの巻|かんがえるジュークボックス/亀山博之

コラム

芸工祭のご案内

 9月です。9月といえば、芸工祭!

2025の芸工祭ポスター
2025の芸工祭ポスター

 我が連弾ユニットである夕ヶ谷姉妹のリサイタルは、昨年、大雨で中止となりました。あれから1年???月日の流れはなんと早いことか。で、今年は?一部では、リサイタルの開催を知らせるポスターが反響を呼んでいるとか、いないとか。

夕ヶ谷姉妹リサイタルポスター
筆者作「夕ヶ谷姉妹リサイタル」

 ではここで、先日、市内某所で行われた夕ヶ谷姉妹の記者会見の文字起こしをどうぞ。

記者A:今年のリサイタルはどんな曲目を演奏するんですか?
夕ヶ谷メンバー全員:…。
記者A:当日まで秘密ということですか?
夕ヶ谷メンバーmori:ええと、です、ね。
記者B:リサイタルはやるんですよね?
夕ヶ谷メンバーhiro:あー…。
記者C:Can you do a show?
夕ヶ谷メンバーari:No can do.
会場:ザワザワ~

以上、記者会見の様子でした。

夕ヶ谷姉妹公演の様子
前哨戦的な今年6月の公演の様子
(撮影:夕ヶ谷#3mori)

 このたびの芸工祭のリサイタルのために、密かに演奏も披露したりしていたのですが… “No can do” つまり、公演中止です。今年の芸工祭での開催にむけて、我々は日夜ピアノとテルミンの練習を重ねてきたのです。ですが!3人いるメンバーの1人が急遽、長期不在となったため、活動休止でございます。楽しみにしてくださっていた方がもしいた場合、誠に申し訳ございません。2年後にきっと活動再開の予定です。

夕ヶ谷姉妹グッズ
販売します!夕ヶ谷姉妹グッズ

 なお、コンサートグッズとして販売予定であったマステとステッカーはちゃんと出来上がっておりますゆえ、グッズ販売、および、公演ポスター原画と過去の公演の写真展示をおこないます。9月20(土)?21(日)日は、大学本館の3階の301教室まで、どうぞお越しください!「かんがえるジュークボックス×夕ヶ谷姉妹」ブースでお待ちしています。

 グッズ作成にあわせて、本コラムのロゴも一新。グッズ、ロゴともにデジタル編集担当はグラフィックデザイン学科2年伊藤あんさんです。

NO CAN DOについて

 先の記者会見で、夕ヶ谷姉妹が “Can you do a show?” と尋ねられた際の答えが “No can do” でした。あれ?否定の答えは “No, I can’t” または “No, we can’t” になるんじゃないの、そう学校では教わったよ、という方もいらっしゃるかもしれない。そう、 “No can do” は学校教育では取り上げられない表現でしょう。これは一説によると、軍隊などで使われはじめ、のちの一般的にフランクな否定の応答となったものだそうだ。おわかりのとおり「できません」「不可能です」という意味。
 そんなわけで今回は、タイトルに “No can do” が入っている曲を取り上げましょう。ホール&オーツ(Daryl Hall & John Oates)のデュオが1982年に発表した “I Can’t Go for That (No Can Do)” です。

ダリル?ホールとジョン?オーツ 日本盤
ダリル?ホールとジョン?オーツ 日本盤

 基本的に「無理っす」「ダメっす」という歌なのですが、イケてます。ですが、このデュオ、不仲で有名ですね。日本にも、大都会のほうに不仲で有名なデュオがいたような???ま、いいか。この曲、何に対して「ダメだ」といっているのかといえば、音楽業界に牛耳られてたまるか!というホール&オーツの叫びなのだそうな。

Easy, ready, willing, overtime
楽に、用意はいいよ、よろこんで、延ばしてもいい

Where does it stop
どこで終わりにする

Where do you dare me to draw the line
どこでボクに線引きさせるっていうのかい


You’ve got the body
あんたはボクの身体を手に入れた

Now you want my soul
今度は魂まで欲しいとは

Don’t even think about it
そんなことかんがえるなよ

Say “no go”
無理だぜ


(Chorus)
Yeah, I, I’ll do anything

ボクは何でもやるよ

That you want me to do
あんたがボクに望むことなら何でも

And, I’ll do almost anything
ほとんどのことならやるよ

That you want me to
ボクに望むことをさ


Yeah, but I can’t go for that (No can do)
でも、それはできないな(無理)

I can’t go for that (No can do)
できないよ(無理)

I can’t go for that (No can do)
できないよ(無理)

Can’t go for that…
できないよ

I can go for being twice as nice
倍くらいいい感じにもなれるよ

I can go for just repeating the same old lines
おなじセリフを繰り返すのも大丈夫


Use the body
ボクは身体を使っても

Now you want my soul
あんたは魂が欲しいってさ

Ooh, forget about it
忘れてくれよ

Now say “no go”
ダメだよ


(Chorus)

 とにかくダメダメ言ってるわけですが、やりたくないことはやりません!信念は曲げないよ!というホール&オーツの心の叫びでした。
 今年の我々の公演は急遽中止、“No Go”ですみません。けれど、ブースでお待ちしています。

夕ヶ谷姉妹グッズ
夕ヶ谷姉妹 for sale

 それでは、次の1曲まで、の前に、芸工祭で逢いましょう。
 Love and Mercy

(文?写真:亀山博之)

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亀山博之(かめやま?ひろゆき)
亀山博之(かめやま?ひろゆき)

1979年山形県生まれ。東北大学国際文化研究科博士課程後期単位取得満期退学。修士(国際文化)。専門は英語教育、19世紀アメリカ文学およびアメリカ文学思想史。

著書に『Companion to English Communication』(2021年)ほか、論文に「エマソンとヒッピーとの共振点―反権威主義と信仰」『ヒッピー世代の先覚者たち』(中山悟視編、2019年)、「『自然』と『人間』へのエマソンの対位法的視点についての考察」(2023年)など。日本ソロー学会第1回新人賞受賞(2021年)。

趣味はピアノ、ジョギング、レコード収集。尊敬する人はJ.S.バッハ。