2月はバレンタイン
2月といえば、バレンタイン。ヴァレンタインだ。もう過ぎましたが、Happy Valentine’s Day! そういえば、valentineにふさわしいモノがある。わたしが収集しているタイプライター。そのうちのひとつにvalentineという名前がついたのがある。真っ赤でかわいい。愛の季節にふさわしいタイプライターだ。
日本での通称は「赤バケツ」という。赤いバケツのようなケースに入れて持ち運びできるデザインだから。バレンタインの贈り物にタイプライターのvalentineを贈った人とか、昔はいたのかしら?そしたら、オシャレである。
愛のゆくえ
バレンタイン…愛の季節。というわけで「愛のゆくえ」という邦題の1971年リリースのレコードを聴いてみるとしよう。かの有名なモータウン?レーベルからの1曲だ。
日本盤
歌うのはマーヴィン?ゲイ(Marvin Gaye)で、原題は“What’s Going On”だ。これを直訳すれば「何が起こっているんだ?」ということ。歌われる内容は、ひと言でいえば、反戦である。ひどいことが世の中でおこなわれていて、「何が起こっているんだ?(What’s going on?)」と問うているわけだ。「愛のゆくえ」とはなかなか上手い訳である。
自身の弟が参戦したということで、マーヴィンはこの曲でベトナム戦争についての抗議を表明している。2026年の今日の日本でも、この詩がなんだかヒリヒリと響く。
ぼんやりしていたら戦争の泥沼にハマってしまっていた、なんてことにならないようにすべきである。政府が間違っていたら、ハッキリと抗議すべきである。それで牢屋に入れられたら、牢屋に入っていない人のほうがおかしいのだ。
こう説いたのは、わたしが敬愛するヘンリー?D?ソロー(Henry David Thoreau)である。愛とは、軟弱ではダメなのである。
Mother, mother
母よ、母よThere’s too many of you crying
あまりに多くの母達が泣いているBrother, brother, brother
同胞よ、同胞よ、同胞よThere’s far too many of you dying
死んでゆく同胞達があまりに多すぎるYou know we’ve got to find a way
方法を見つけなきゃTo bring some loving here today, yeah
今日、ここに愛をもたらす方法を
Father, father
父よ、父よWe don’t need to escalate
これ以上悪化させる必要はないんだよYou see, war is not the answer
戦争が答えではないのだからさFor only love can conquer hate
だって、愛だけが憎しみを征服できるんだよYou know we’ve got to find a way
方法を見つけなきゃTo bring some loving here today, oh
今日、ここに愛をもたらす方法を
(Chorus)
Picket lines (Sister) and picket signs (Sister)
抗議の隊列、抗議の立て看板Don’t punish me (Sister) with brutality (Sister)
暴力でわたしを罰したりしないでくれTalk to me (Sister), so you can see (Sister)
オレに話せよ、そしたらわかるOh, what’s going on (what’s going on)
何が起こっているんだWhat’s going on (What’s going on)
何が起こっているんだYeah, what’s going on (what’s going on)
何が起こっているんだOh, what’s going on
何が起こっているんだ
Mother, mother
母よ、母よEverybody thinks we’re wrong
オレらが間違っていると皆が思ってるOh, but who are they to judge us
けれど、そうやってオレらを判断する彼奴らは何様だよSimply ‘cause our hair is long?
オレらの髪が長いからか?Oh, you know we’ve got to find a way
方法を見つけなきゃTo bring some understanding here today, oh-oh
今日、ここに理解をもたらす方法を
(Chorus)
愛は硬派に
個人的には第2ヴァースの“escalate”と“hate”で韻を踏んでいるところに脱帽である。音も意味も見事な組み合わせで、そして強いメッセージをしなやかに伝えている。汚れた政治に対して美しい愛の技で対抗する際の、絶好のお手本である。
というわけで、チョコレートのように甘い2月の愛の話題から始めたつもりが、なかなか硬派な内容になってしまった。しかしながら、曲自体はウットリするようなリズムとソウルフルな歌声だ。
彼のもう一つの代表曲「マーシー?マーシー?ミー(Mercy Mercy Me (The Ecology))」にも言えるが、マーヴィン?ゲイの歌を聴くといつも、軟弱な愛は愛じゃない!喝っ!という気分になる。歌われる内容は非常に社会派なのだ。それに似合わないメロウなメロディ。いわゆる「ギャップ萌え」だ。うーん、グッとくる!外はまだ寒いが、心は熱くいこうではありませんかっ!みなさんっ!
それでは、次の1曲までごきげんよう。
Love and Mercy
(文?写真:亀山博之)
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#かんがえるジュークボックス(第1回~第41回)
亀山博之(かめやま?ひろゆき)
1979年山形県生まれ。東北大学国際文化研究科博士課程後期単位取得満期退学。修士(国際文化)。専門は英語教育、19世紀アメリカ文学およびアメリカ文学思想史。
著書に『Companion to English Communication』(2021年)ほか、論文に「エマソンとヒッピーとの共振点―反権威主義と信仰」『ヒッピー世代の先覚者たち』(中山悟視編、2019年)、「『自然』と『人間』へのエマソンの対位法的視点についての考察」(2023年)など。日本ソロー学会第1回新人賞受賞(2021年)。
趣味はピアノ、ジョギング、レコード収集。尊敬する人はJ.S.バッハ。
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