学生選抜展 DOUBLE ANNUAL 2023 「反応微熱ーこれからを生きるちからー」/アシスタントキュレーター?千田真尋(文化財保存修復学科2年)
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#DOUBLE ANNUAL#イベント#在学生12月14日(水)から22日(木)にかけて、本学の本館7階ギャラリーTHE TOPを会場に、「学生選抜展 DOUBLE ANNUAL 2023 『反応微熱――これからを生きるちから――』プレビュー展 」が開催されます。
私は、文化財保存修復学科2年の千田真尋と申します。本展の芸工大アシスタントキュレーターを務めています。京都芸術大学のアシスタントキュレーター2名と共に、キュレーターやディレクターの方々にアドバイスをいただきながら、作家とのコミュニケーションやSNSによる広報などを行っています。
今回は「DOUBLE ANNUAL 2023について」「プレビュー展について」簡単にではありますが紹介させていただきたいと思います。
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DOUBLE ANNUAL 2023について
DOUBLE ANNUAL 2023は、東北芸術工科大学(以下、芸工大)と姉妹校である京都芸術大学が合同で行っている、全学部生と院生を対象とした学生選抜展です。DOUBLE ANNUAL 2023の前身は、京都芸術大学が5年にわたって開催してきたKUA ANNUALで、今年から芸工大が加わり学生選抜展として開催することになりました。京都?山形という離れた2つの場所から見た現代世界はどのようなものなのか、という期待が込められています。
DOUBLE ANNUAL 2023の特色は、実際に現場で活躍するキュレーター3人が展覧会をディレクション?キュレーションするという点です。具体的にどのようにキュレーションを行うのか、例を2つ挙げてご紹介します。
まず一つ目は、出展作家の選抜です。
4月に行われた募集説明会にて作品募集テーマ「抗体?アジール※?ミラクル」が発表され、エントリー作家にはこのテーマのうち1つ以上に応答した作品の制作プランとポートフォリオ、プレゼンテーションが求められました。そして制作プランにおいてどのようにテーマを咀嚼し応答したかという観点で出展作家が選抜されました。
※アジール:世俗的な権力の及ばない「避難所」。
二つ目は、制作の進め方です。
作品制作は作家ごとに各自で進められていますが、月に1回、作家が制作の進捗を報告するミーティングの場が設けられています。そこでキュレーターからの意見を受けて、さらに作品がブラッシュアップされるという過程も、このプロジェクトの特徴の一つと言えるでしょう。
プレビュー展について
全体応募総数99組129名のうち、選出された作家は11組16名でした。作家は、芸工大と京都芸術大学で同時期に開催されるプレビュー展と、2月から開催される国立新美術館での本展という二つの展示機会に向けて作品を制作します。今回THE TOPで開催されるプレビュー展では、選出された作家11組16名の中の芸工大生5組10名の作品が展示されます。
以下、芸工大の出展作家を簡単に紹介します。
[ 高橋侑子 ]
美術科洋画コース4年の高橋侑子さんは、普段から日常の風景をモチーフとして制作しています。今回DOUBLE ANNUALから提示された作品テーマ「抗体」「アジール」「ミラクル」のうち、「ミラクル」を「少しのタイミングや偶然が重なりあって起こりうる、小さなハッピー」と高橋さんは定義しています。今回のプレビュー展では、生活している中で体験した「ミラクル」の瞬間をとらえた油彩画の作品群『ミラクル』を展開します。
[ 卍会プラス ]
卍会プラスは、美術科洋画コース3年の權ミリさん、齋藤大さん、1年の廣木花音さん、美術科版画コース3年の鹿野真亜朱さん、芸術工学専攻 芸術文化立体造形領域 博士2年の佐藤純一さんの5人で構成されたグループです。
学年も専攻も異なる5人での活動は、權さんが学食の掲示板に貼った「一緒にアートする人を探しています!」という募集用紙のQRコードを他メンバーが読み取ったことから始まりました。このきっかけを「ミラクル」として募集テーマに呼応し、メンバー自らが今まで受けてきた教育や今まで見聞きしてきた報道などといった情報を整理し、浮かび上がった韓国と日本の差異について思考する活動をしています。今回展示される作品は、その思考が基になった作品群とグループの活動記録で構成されたミクストメディア『??/活動』です。
[ 添田賢刀 ]
大学院 複合芸術領域 修士1年の添田賢刀さんは、山本兼一による小説『利休にたずねよ』にインスピレーションを得た、アクリル画?陶芸?テキストを含む空間表現『アルムダプッタ』を展開します。添田さんはこれまで人がそれぞれの中に作った思い込みやそれに連なる思想?宗教をテーマの一つにしてきました。今回の展示では他者が個人を個人として認識する壁である「抗体」、居心地の良い集まりとなった「アジール」、そして集団のなかで排他的になった人が盲信する「奇跡(ミラクル)」を表現します。その空間を「たずねる」ことは、多くの人々が訪ねた利休の茶室にも重なります。
[tag]
tagは美術科洋画コース4年の和田竜汰さん、北村啓人さんの2人によるグループです。2人は、芸工大の美術科独自のプログラム「T.I.P(TUAD.INCUBATION.PROGRAM)」の一員としても活動されています。
Tagが今回展示するのは、『MAFUK』です。2020年からの万博体育投注_万博体育彩票-下载app登录の流行と、それによってマスクが手に入りにくくなった時期、また安定して手に入るようになった現在を経験して持った「消費」に対する疑問を、使用済みマスクで制作された衣服と空間表現の展示で提起します。
[ 鈴木藤成 ]
鈴木藤成さんは、美術科日本画コース4年で、前述のT.I.Pにも所属しています。鈴木さんは、2021年から故郷である山形県米沢市簗沢村と郷社八雲神社を起点としたフィールドワークとそれを基にした作品制作を行っています。
今回展示するのも、この制作活動に連なる作品である『僕と鬼の云々』です。フィールドワークを通して感じた、神社に対する無関心?無責任を「アレルギー反応」と位置づけ、過疎地域に存在する問題を発信します。
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普段、作品制作から縁遠い文化財保存修復学科に所属している筆者は、アシスタントキュレーターとしてこのプロジェクトに関わり、「人に伝えたい独自のテーマや問題意識を常に持っていて、なおかつそのテーマや問題に対して作品に昇華できるほどに思索している同世代の人がこんなにもいるのか」と、社会に対するアンテナの高さや意識の鋭さ、軸の強さのようなものにとても衝撃を受けました。また、専攻している分野と異なる表現方法を積極的に用いる人が複数いる柔軟さにも驚かされるばかりでした。
プレビュー展会場と本展会場では与えられる展示スペースや展示に関するレギュレーションが異なるため、プレビュー展と本展で作品の様子や展示方法が変化する可能性があります。したがってDOUBLE ANNUAL 2023の展示機会は二度ありますが、全く同じ展示ではなく、展示作品にも「プレビュー展の顔」と「本展の顔」が存在します。
今しか見られない作品を鑑賞しに、ぜひTHE TOPまでお越しください。お待ちしています。
(文?写真:文化財保存修復学科2年 千田真尋)
Information
本学と姉妹校の京都芸術大学が来年2月に国立新美術館で行う学生選抜展「DOUBLE ANNUAL 2023」のプレビュー展を本館7階 THE TOPにて12月14日(水)より開催します。
また、12月16日(金)には、DOUBLE ANNUAL 2023 総合ディレクターの片岡真実さん、本展ディレクターの服部浩之さん、京都芸術大学ディレクターの金澤韻さんによる講評会を開催いたします。ぜひ足をお運びください。DOUBLE ANNUAL 2023「反応微熱—これからを生きるちから—」プレビュー展
会期:2022年12月14日(水)~22日(木)日曜閉館
時間:9:00~17:00
会場:東北芸術工科大学 本館7F THE TOP
入場料:無料 ※一般の方は本館1階出入口で入館手続きのうえ、入場いただけます。
公開講評会:2022年12月16日(金)17:00~19:00(講評者:片岡真実、服部浩之、金澤韻)
東北芸術工科大学 広報担当
TEL:023-627-2246(内線 2246)
E-mail:public@aga.tuad.ac.jp
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